正社員の待遇を下げて格差是正

2018年4月 新着情報

正社員の待遇を下げて格差是正

  同一労働同一賃金の手当の均等・均衡対応

 2016年に厚生労働省が示した「同一労働同一賃金」ガイドライン案で、各種手当の均等・均衡待遇の確保」が示されており、正社員と非正規社員との各種の手当の差をつけないよう求めています。

 日本郵政グループは、正社員のうち約5千人の住居手当を今年10月に廃止すると報道されています。正社員だけに支給される住居手当が廃止されることで、住居手当のない非正規社員との待遇格差は縮まりますが、正社員の待遇を下げて格差を是正することになります。

 これは、東京地裁が日本郵便株式会社(日本郵政)の正社員と時給制契約社員の労働条件の相違について下した判決があり、今春、日本郵政グループ労働組合(約半分は非正規社員)の要求で、非正規社員の待遇改善を図る同一労働同一賃金の動きが高まっているとして、正社員だけに認められている住居手当・扶養手当などの手当を非正規社員にも支給するよう求めた結果であります。

 主な手当の見直し
 @ 住居手当;転居を伴う転勤のない正社員への支給廃止。非正規社員は支給なし。
 A 寒冷地手当;支給額を削減。非正規社員には支給なし。
   B 年末年始勤務手当:年始手当を非正規社員にも支給。年末手当は廃止。
 C 扶養手当:継続して協議する。
 D 遠隔地手当:支給額を削減する。非正規には支給なし。

 同一労働同一賃金のガイドライン案は、非正規社員の待遇を引き上げて正社員との格差を是正する意図がありますが、企業の現実の対応は、正社員の待遇を引き下げて格差を是正する内容であり、今後、他の企業の対応が注目されます。

 ご参考:東京地裁の判決
  正社員と非正規社員との労働条件の相違について、労働契約法第20条の適用をめぐり、様々な裁判例がありますが、平成29年9月に東京地裁が日本郵政の正社員と時給制契約社員の労働条件の相違について判決を下しました。 
不合理性の判断の前提として
@比較対象となる正社員の範囲、
A職務内容等に関する相違を比較検討し、具体的には各手当は以下の判断が下されました。
 @住居手当:転居を伴う正社員は、転居の無い時給制契約社員より住居費用の負担が重く、住居費の援助による人材の確保、定着を図る人事上の施策として合理性がある。他方、転居を伴わない正社員(平成26年以降の新一般職)に対しての支給される住居手当が、時給制契約社員に全く支給されないのは不合理である。
 A 夏季冬季休暇:正社員のみに付与されているが、お盆と年末年始の休暇は国民的意識や習慣に基づくものであり、取得要件の違いを設けることは別として、時給制契約社員に全く付与しないのは合理的でない。
 B 年末年始勤務手当:国民にとっての休暇である年末年始に労働に従事したことの対価であり、時給制契約社員に全く支給しないことに合理性なない。ただし、正社員と同額の手当を支払わなければ不合理であるとまでは言えない。
 C 病気休暇:私傷病について正社員には有給90日の病気休暇が付与されているのに対し、時給制契約社員は10日の無給の付与のみは合理的であるとは言えない。
 
 *労働契約法第20条  有期労働契約を締結している労働者(非正規社員)の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者との期間の定めのない労働契約を締結している労働者(正社員)の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、 @ 労働者の業務内容および当該業務に伴う責任の程度(職務内容) A 当該業務の内容および配置の変更の範囲 B その他の事情 を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

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